10日目。

昔、体だけの関係だった人が結婚した。

 

私は昔その人が好きで

 

その人を好きだったとき、本当にどっぷりと、心を奪われていた。

 

自分のことを愛していない人とただ体を重ねるなんて、私のプライドが許さなくて

 

とにかく高級なホテルや旅館、それを用意してくれていたら会っていた。

 

 

ある時、露天風呂付き素敵なお部屋で一夜を過ごした翌朝

 

枕が違うとろくに眠れない私は、豪華な朝御飯を楽しみに早起きした。

 

7時になった。

 

7時半になった。

 

8時になろうと

 

8時半になろうと彼は起きない

 

九時になる少し前に

 

フロントから電話があって、「ご用意ができております」

 

彼に声をかけるが、起きない。

 

結局、朝食はキャンセル。

 

それから一時間くらいして目覚めた彼に、昨日コンビニで買ったロールケーキをはんぶんこして渡されたのだ。

 

 

用意してくれていた人の気持ちとか、それを捨てる人の気持ちとか、わからないんだ。

 

とたんに、

 

彼の、増してきた加齢臭や

セックスで演技しなきゃいけないことや

全然面白くない話に興味があるふりをしてきたことに

 

嫌気がさした。

 

 

恋とは

 

一瞬で終わるものだと、この時知ったのだ。

 

あんなに好きだったのに、ある日突然、好きでも嫌いでもない、私には関係のない人になって

 

それからは、何を言われようと、何に誘われようと、心が動くことは二度となかった。

 

そんな彼が結婚した。

 

数日前、彼は私に会いに来ようとしていた。

 

「やっぱり仕事で行けなくて、また今度行く」

 

なんて言われて

 

ぴくりとも嬉しくない自分にほとほと呆れていた。

 

「ご結婚おめでとうございます‼️」

 

と言って

 

寂しくも、辛くもなければムカつくこともないし

 

おめでとうという気持ちもない。

 

あんなに好きだった人が、

 

こんなに、どうでもいい人になってしまうなんて。