13日目
デリヘル嬢たちに囲まれて、仕事の待機をしている。
何度も言うが私は性的なサービスは行っていない。彼女たちとは、雇用主と待機場所が同じなのだ。
この仕事を始めて出会ったデリヘル嬢数人は、衝撃的だった。
挨拶もしなければ、話しかけても返事すらしない、質問には「さぁ?」と一言。
一様に目は死んでいて、私とは距離を置きたい様子。それについて嫌ではないけれど、一緒の空間にいるとなんとなく心地よくなかった。
今日、最初の仕事を終え待機部屋に入ると、初めて会うお嬢さんが1人。
彼女たちに話しかけてはいけないことは知っているので、「おつかれさまです」とだけ声をかけた。
数分後彼女がこちらを見て、
「食べません?お客さんからもらって」
とお菓子を。
拍子抜けしながら、お腹は空いていなかったけどせっかくの好意を頂いた。
それをきっかけに彼女は気さくに話し出す。仕事のこと、会社のこと、プライベートのこと。
私もいろいろ聞いてみる。私の知らない、夜の蝶の世界について。
しばらく話して、お互い客を待ち疲れて、しばらく寝よう、おやすみなさい、となった。
この仕事を始めて、毎日出会ったことのない経験を繰り返している。
それはそれは疲れるけど、まだ楽しむ余裕があるようで
「世の中、いろんな人がいるなぁ」
なんて当たり前の言葉をしみじみ思う
デリヘル嬢はみんな無愛想
なんて私が安易に打ち立てたイメージ図は、お嬢さんがくれたお菓子と共に崩れていった
いろんな人がいて、それは悪や善に見えたとしても、全く逆の場合がある
かと思えば、実は悪でも善でもないとも言える
そういっている私だって、善だと思われたり、悪だと思われたりしてるのだろう
ひとりとして同じ人間はいない
誰を好きになったっていいし、誰に腹を立てたっていいよね
自分だって、誰かを笑顔にもするし、怒らせもする
それが普通。普通なんてないのが、普通。
お客を待って眠気を凌ぎつつこんな日記を書いている
今日はこのまま上がりかなぁ。。